【通りがかり男】 お前、○○って言うんだろ? サディーヤさんが呼んでたぜ。 絶対に1人で来てくれってよ。▼ |
【毒術師サディーヤ】 ○○さん・・・ 少しお話が・・・▼ 【毒術師サディーヤ】 ○○さんは オルフェウスさんと 仲がよかったですよね。▼ ・はい、彼とは・・・ ・いえ、特に・・・ |
・はい、彼とは・・・
【毒術師サディーヤ】 この小さなガラス玉が、 彼の楽器の中から・・・▼ 人の臓腑を食い破る おぞましい虫・・・ この中にあるのはその虫の卵です。▼ 花粉よりも小さな卵ですが、 人間の体内にはいると 数時間で孵化し、▼ 孵化より3日程度で成虫となり、 人間の内蔵を食べ始めます。▼(原文のまま) 人間にしか寄生しない悪魔の虫。 様々な毒を扱う私たちセディク族でも この虫は忌み嫌われています。▼ 1番の恐ろしさは その繁殖力と抵抗力。 体内で孵化したこの虫を 殺す方法はありません。▼ ひと月も経たずに宿主は死に、 その排出物や死体などから、 卵は近くの人間に広がっていきます。▼ 糸くず程度の大きさの この虫によって、 バイレステでは5万人の町が 全滅したことがあります。▼ これは暗殺者の使う毒ではありません。 町そのものを壊滅させるための 死神の鎌・・・▼ どうして彼がこのようなものを・・・▼ 【オルフェウス】 困るなあ。 勝手に持って行くなんて・・・ それ探してたんですよ。▼ 【毒術師サディーヤ】 オルフェウスさん・・・ 答えて下さい。これは・・・▼ 【オルフェウス】 察しの通り、カンタレッラ・・・ 人を喰らう虫です。▼ 【毒術師サディーヤ】 何のためにこのような 危険な卵を持ち込んだのですか?▼ 【オルフェウス】 いやだなあ、 決まってるじゃないですか。 人を殺すためですよ。▼ 【毒術師サディーヤ】 このような閉ざされた町であれば あなたも死ぬことになります。 覚悟の上なのですか?▼ 【オルフェウス】 ええ、もちろん。▼ 軽蔑しました? 仕方ありませんね。 もう友達ごっこは止めにしましょう。▼ いい機会です。 もう少しで本当に君に惚れちゃう ところでしたから。▼ 【毒術師サディーヤ】 本当のことを話して下さい。 あなたは何のために・・・▼ 【オルフェウス】 美人の頼みは断りたくないのですが、 それはイヤです。▼ 【毒術師サディーヤ】 あなたの切り札は私の手にあります。 もう隠す必要もないのでは?▼ 【オルフェウス】 そうでしょうか。▼ ![]() 【毒術師サディーヤ】 !!!▼ 【オルフェウス】 2つ用意してたんです。▼ ぼくの勝ちですね。 これを床に叩き付ければ この町は死の町になります。▼ 【毒術師サディーヤ】 あなたは・・・▼ 【オルフェウス】 冗談です。 いいでしょう、理由を言います。▼ ご想像通り、 これでこの町の人間を皆殺しに するつもりだったんです。▼ いくら練達の戦士でも、体の中から 虫に食べられればひとたまりもない。▼ もちろん、体内の虫を駆除する方法が 治癒の術やセディクの術にないことも 調べがついてます。▼ 【毒術師サディーヤ】 何のために? 恨み・・・ではないですね。▼ 【オルフェウス】 ええ、この町の人達に 恨みなんてないですよ。▼ 禍根を取り除くためだけです。 『アザレの石』が見つからないよう。▼ 【毒術師サディーヤ】 アザレの石・・・▼ 【オルフェウス】 まず自己紹介をしましょう。▼ ぼくはイレニア島の北部、 バイレステの植民地に生まれた イレニア人です。▼ 父は、そこでそれなりに 大きな商館を経営していた 商人でした。▼ ですが、あの島にいる バイレステ人の商人にしてみれば、 普段見下しているイレニア人が 成功しているのは面白くない・・・▼ ある日、イレニア総督府の役人が 父を逮捕しにきました。 罪状は覚えていません。 どうせ彼らのでっちあげですから。▼ ともかく、ぼくの父と母、 そして兄と兄の婚約者が 処刑されました。▼ 4つの死体は、町の広場に 2ヶ月間も吊されたそうです。 そう、イレニア人への 見せしめのために・・・▼ ぼくはバイレステ本国に労働力として 送られることになりました。 幸運なことに、船をおそった 嵐によって助かりましたが。▼ イレニアの海岸に流れ着いたぼくは、 その後、北イレニアの 独立運動の組織に加わりました。 それが10歳の時のこと。▼ といっても、はじめの内は 国の独立なんてどうでもよかった。 ただバイレステ人に復讐する力が ほしかっただけ・・・▼ 11歳で初めて人を殺しました。 相手はバイレステ人の貴族。 以降、貴族や大商人を 百人は殺してきました。▼ ですが15歳の時にふと思いました。▼ いくら殺してもきりがない・・・ 奴等は次々と本国から 新しい役人を送り込んでくる、 ぼくのしていることは無駄なのかと。▼ 丁度その時、都合よく バイレステ本国での仕事を 任されました。▼ バイレステの元首の家に侵入し、 政府の動向を探るという仕事です。 それにはぼくが適任だったんです。▼ 【毒術師サディーヤ】 ・・・?▼ 【オルフェウス】 王様気取りのあの元首の家には、 噂通り美形の小姓が 50人もいました。▼ 元首の趣味とその妻の趣味が 全く同じというから笑える話です。 その中に紛れ込むのは 比較的簡単でした。▼ 【毒術師サディーヤ】 でも、イレニア人は 私のような褐色の肌に 黒髪のはず・・・▼ 【オルフェウス】 髪は染めました。 この肌はリウナエルで 抜いたんですよ。▼ バイレステの貴族の女どもは 白い肌の男が好きですから。 第一、黒い肌に黒髪じゃ イレニア人ってすぐにばれてしまう。▼ 奴らにとってイレニア人は 支配する対象でしかないですからね。 だから、肌の色と髪の色を 変えたんです。▼ 【毒術師サディーヤ】 知らないのですか? リウナエルは劇毒です。▼ そんなもので全身を焼けば あなたの命は・・・▼ 【オルフェウス】 ええ、 4,5年で死んじゃうらしいですね。 でも死ぬのは怖くない。▼ 【毒術師サディーヤ】 そんな・・・▼ 【オルフェウス】 話を本題に戻しましょう。▼ 元首の執務室に忍び込み わかったこと・・・ これは意外な事実でした。▼ バイレステ共和国の内情は ぼくが想像していたよりも 惨憺たるものだった。▼ 貴族は堕落し、 各属領の民衆の不満も爆発寸前、 財政は逼迫し、各機関も 正常に機能せず・・・▼ 自分達は強大なドうゴン相手に 勝ち目のない戦いを続けていた つもりだったのに、▼ 実は、そのドラゴンは、 こちらが何も何を下さなくても 年老いて今にも死にそうだった・・・▼ それがわかったのです。 一気に体の力が抜けました。 そう、自分の存在価値を疑うほど。▼ ですが、彼らが永遠の命を得れば 話は変わってきます。▼ 彼らの支配は永遠のものとなり、 逆にぼく達は永遠に支配され、 虐げられ続ける・・・▼ アザレの石が見つかった瞬間に ぼくはこの町を消すつもりです。 そのためにぼくはこの町に来ました。▼ 【毒術師サディーヤ】 あなたが普段 いい加減な男を装ってるのは 皆を油断させるため?▼ 【オルフェウス】 いいえ、 本当の自分を守るためですよ。▼ 演技した自分が人を殺したのなら、 罪悪感など感じずに済む。▼ 人を殺したのは本当のぼくじゃない、 ぼくは殺人者の役を演じただけだ、 そう自分に言い聞かせる事が出来る。▼ オルフェウスは楽団にいた時に 使った名前です。 地下組織内での呼び名はチェザーレ、 バイレステ元首の公邸ではリア・・・▼ 本名は忘れてしまいました。 嘘まみれの人生・・・ 守るべき本当の自分なんて もう何処にも残っちゃいないのに。▼ 【毒術師サディーヤ】 どうして・・・ どうして話す気になったのですか?▼ 【オルフェウス】 サディーヤさん・・・ あなたは『アザレの石』の発見を 望んでいない。▼ そして○○さん・・・ 君を殺す前に、 一言伝えたかったのかもしれない。▼ 【毒術師サディーヤ】 ありがとう・・・ 話してくれて。▼ これはお返しします。▼ 【オルフェウス】 ・・・?▼ いいんですか?▼ 【毒術師サディーヤ】 あなたは○○を殺さない。▼ 【オルフェウス】 わかりませんよ。 ぼくは期待に答えるのが 得意じゃありませんから。▼ 【毒術師サディーヤ】 ○○さん、 彼を支えてあげて下さい。▼ ・BACK |
・いえ、特に・・・
【毒術師サディーヤ】 そうですか・・・ いえ、ならいいのです。▼ ・BACK |
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