【オルフェウス】 で、一体何でしょうか、 この装置は・・・▼ ○○さん、 とうとうお出ましですよ。 最後の十三聖者が。▼ 【聖者アヴァダイル】 彼らは敗れたのか・・・▼ 【オルフェウス】 え、ええ、 そうらしいですね。 誰がやったかは知りませんが。▼ 【聖者アヴァダイル】 そうか・・・▼ 君達は何故戦い続ける?▼ この世界に救いのないことは 嫌というほど知っているはずなのに。▼ 【オルフェウス】 そりゃ確かに 昔はそう思っていましたけどね。▼ でも、そう捨てたものでもないと 最近思うようになりました。▼ ま、だからといって 世界のために戦うなんて 恥ずかしい動機は、露ほども 持ち合わせてはいませんがね。▼ それで・・・▼ 聖者アヴァダイルさん、 あなたは何かを確かめたくて ○○さんをここに 招き入れたんですよね。▼ もしかして、これが 確かめたかっただけなんですか?▼ 【聖者アヴァダイル】 昔話をしよう・・・▼ 君達が太陽帝国と呼ぶ国、 その国の真の名を ベアルファレスという・・・▼ ベアルファレスの民も、 初めは神の存在を信じ、 神を奉っていた。▼ 現代よりも遥かに高度な 物質文明をもちながら、▼ それでもおごることなく 人の善なる面と悪なる面とを 正確に見つめ、▼ 現実から目を背けることなく、 真実、つまり人の絶対の真理を ひたむきに追い求めていた・・・▼ だが、彼らは人間という種を 知るうちに1つの結論を得た。▼ 魂が肉体という鎖に縛られている限り 真実には永遠に辿り着けないと・・・▼ 物欲、性欲、食欲、独占欲・・・ 肉体があるがゆえ数多の欲が生まれ、 欲望がある限り争いはなくならない。▼ 不安、孤独、嫉妬・・・ 人の魂が肉体という鎧の裏に 隠れている限り、▼ 人の心を蝕む負の感情も なくなることはない。▼ このままでは 人間に未来などない・・・▼ 地上世界の半分を支配する 大帝国を築きながら、 彼らはそれをあっさりと捨て この地に新天地を求めた。▼ そして、ここで彼らは 忌まわしき肉体と別れる事を 決意した。▼ 【オルフェウス】 もしかして・・・この部屋は・・・▼ 【聖者アヴァダイル】 そう・・・ ここは彼らの脳を納めていた玄室。▼ 彼らは自らの脳を取り出し、 それを永久不滅の人工的な神経組織、 つまりこの建物に吸収させていった。▼ 【聖者アヴァダイル】 そこはまさに究極の楽園だった。▼ 人々は死や病の恐怖から解放され、 お互いが完全に理解し合う・・・▼ 希望は全て叶い、 悲しみは全て姿を消していく・・・▼ 彼らは夢のような世界を 創っていった。 そう、彼らは神になったのだ。▼ 【オルフェウス】 でも、この建物の中でないと 何も出来ないんですよね。 それを神サマと呼ぶなんて ちょっと厚かましくありませんか?▼ 【聖者アヴァダイル】 もちろん、この装置との融合は 第1段階に過ぎない。 彼らの最終目標、それは・・・▼ 【オルフェウス】 物質世界と精神世界の融合・・・▼ 【聖者アヴァダイル】 そう・・・▼ 物質世界と精神世界の完全な融合、 それこそが究極の世界・・・ 『完全な神』の姿だ。▼ 【オルフェウス】 完全な神・・・?▼ 【聖者アヴァダイル】 神とは何か・・・▼ 神とは人の力を越えた存在、 人間以上の存在・・・ だが、そんなものは本当に 存在するのだろうか?▼ 答は否だ。 そのようなものなど 存在するはずがない。▼ なぜなら、神は人間の想像の 中にのみ生きる存在だからだ。 人間の脳細胞の外には 生きられない存在だからだ。▼ 神が人を造ったという神話は多い。 だがそれは誤りだ。 人間達が、自らの理想を重ね 神を造ったのだ・・・▼ だが、ベアルファレスの民が なろうとする『完全な神』は違う。▼ 『完全な神』は、 世界を創造することも、 時を支配することも、▼ そして自分自身を 創り直すことも全て可能だ。▼ それは想像上の神ではない。 『完全な神』は、自分自身と、 そして世界を創造することの出来る 初めての神となるのだ。▼ ベアルファレスの民の 計画は慎重だった。▼ 彼らはまず、自らの意志を 執行する者として私達を生み出し、 そして地上に送り込んだ。▼ 私達は、諸民族の雑多な 価値観を統一するため、 アノイアという偶像を造った。▼ 私達が生み出した 架空の人物『アノイア』による 人間の精神世界の改造は順調に進んだ。▼ 過去の神々は消え去り、 代わりにゼメンとゼウェアクという 表情のない絶対神が 人々の倫理観を支配する。▼ そして『完全な神』が全てを占める 『新しい世界』こそが 人類の希望であると 人々の心の奥深い層に植え付け、▼ 人間を従順な神のしもべに 変えていった。▼ 『人々の神を求める声』 『復讐と怒りを司る魔物』 『第二の預言者の誕生』・・・▼ そう・・・ アノイアの聖書に記されている 『新しい世界』へのあらすじもまた、 1万年前から定められていたのだ。▼ 私達はそれをなぞって 歴史を陰から操作してきた・・・▼ そして今、 彼らの計画は完成しつつある。▼ 人々は『新しい世界』を心から望み、 物質世界は崩壊の兆しを見せている。▼ 『光の扉』が開いたのは ほんの一瞬だったが、あの一瞬で 『神』は世界の全てを知った。▼ 『新しい世界』の到来、 『完全なる神』の誕生は近い。 だが、これも君達の協力が あったればこそだ・・・▼ 神に逆らう悪魔よ、 君の血を以て 最後の封印を解かせてもらう。▼ "AVADHAIL" Mission complete 【聖者アヴァダイル】 これで・・・ これでやっと解放される・・・▼ 【オルフェウス】 やはりあなた方は死に場所を 探していたのですね・・・▼ 最後の聖者さん、 今度こそ教えて下さい。▼ どうして○○さんを 始原の地に呼んだのですか? あなた達は一体何者なんですか?▼ 【聖者アヴァダイル】 数え切れない程の 『アザレの石』と『紫の剣』を使い、 数え切れない程の人の魂を乗り継ぎ、▼ 1万年も輪廻を繰り返してきた 呪われた道具・・・ それが私達の正体だ・・・▼ 私達が乗り継ぐ『魂』というものは 人の寿命以上は生きられない。 だから私達はその都度 輪廻を繰り返してきた。▼ 『紫の剣』は、 凶戦士を生み出す為のものでも、 不死の人形を造る為のものでもない。 それは副産物にすぎない。▼ 『紫の剣』は、 私達が乗り継ぐための魂を 生け贄から抜き出すための 道具に過ぎないのだ。▼ 『アザレの石』も同じ・・・▼ 『アザレの石』は、 永遠の命をもたらすものでも、 不死の人形を造る為のものでもない。 それは副産物にすぎない。▼ 『アザレの石』は、 宿り木に選んだ魂が壊れぬよう、 元の肉体が滅ばないようにするための 道具に過ぎないのだ。▼ 私達はこの2つの道具によって 1万年も死と復活を繰り返してきた 肉体を持たない思念体・・・ それが私達の正体だ・・・▼ 【オルフェウス】 では、人の希望が あなた達を生み出したってのも 嘘だったわけですね?▼ 【聖者アヴァダイル】 それは嘘ではない・・・▼ 私達の創造主、 ベアルファレスの民の意志は 人々の希望の実現にあった。▼ 【オルフェウス】 ですが・・・▼ 【聖者アヴァダイル】 いや・・・▼ 君達がどう否定しようと、 人々の希望は、 肉体と霊魂の境界のない 老いも死もない永遠の世界にある。▼ 人々は他者と違うものを排除し、 他人に理解されない事に不安を感じ、 死や病の影に怯え生きている。▼ 1万年前も、そして今も、 人間の本質は 何ら変わっていない・・・▼ そう・・・ 変わってしまったのは私達だ・・・▼ 【オルフェウス】 どういうことです?▼ 【聖者アヴァダイル】 1万年という月日は あまりにも長かった・・・▼ 時間と共に、私達の信念は 繰り返される小言になり、 熱意は自動機械じみた身振りになり、 理想は干涸らびた習慣になっていく。▼ そのうち、 私達は相反する2つの感情を 持つ自分自身に気付いた・・・▼ 神の意志の執行者として 人々の希望を実現させる使命感、 そして、永遠に繰り返される 輪廻への絶望・・・▼ 【オルフェウス】 絶望・・・?▼ 【聖者アヴァダイル】 永遠のように繰り返す死と再生・・・▼ 神に定められた役目を終える時まで、 人々の希望が全て満たされるまで、 私達がこの世界から 消えることは許されない・・・▼ 私達は、 自分達の使命に誇りを持ちつつ、 同時に自分達の使命を呪った。▼ そう・・・ 私達は、神の楽園を守りながら、 その一方で悪魔の到来を望んでいた。▼ 【オルフェウス】 それが○○さんだと?▼ 【聖者アヴァダイル】 そしていつしか私達は、 『永遠の世界』を望まない 自分自身がいることに気付く・・・▼ 使命を呪ったからだけではない。 人を、そして世界を知るうちに、 いつしか、この世界にも価値があると 思い始めていたのだ。▼ それはアノイア教にも 反映されている・・・▼ アノイアの二大神 ゼメンとゼウェアクは 私達の葛藤する2つの感情が 生んだ神でもあった・・・▼ 使命のために殉じる心と 永遠に繰り返す輪廻に絶望する 2つの心の葛藤・・・▼ 『永遠の世界』を信じる心と、 『現在の世界』を肯定する 2つの心の葛藤・・・▼ 結局、その答は見つからなかった。▼ だが君達は、私達が1万年かけても 導き出せなかった答に 自分達の力だけて辿り着いた・・・▼ 君は神の定めた未来を受け入れ、 そしてそれを乗り越えた。▼ そして君は、 神の定めた未定にあらがい、 自らの手で未来を 切り開こうとした・・・▼ 君達は過去や周囲の価値観に 縛られる事なく、 自らの手で信じるものを創り出し、 そしてそれを自らの力で守りぬいた。▼ 私は、そこに真実を見た・・・▼ 【オルフェウス】 買いかぶりです。 そんなに深く考えてませんよ、 ぼくも○○さんも。▼ 【聖者アヴァダイル】 あと数刻後に 精神世界と物質世界の融合の 最後の段階が始まる・・・▼ その前に、私の最後の力で 君達を神の世界に送りこむ。▼ 1万年の月日が変えたのは 私達だけではない。 時間は容赦なく神をも変えた・・・▼ だが、君達なら勝てると信じている。▼ 神を、 ベアルファレスの亡霊を 消し去ってくれ・・・▼ |
【オルフェウス】 これが・・・神の姿・・・?▼ 1万年前の人から生まれた神・・・ でもこの醜悪な姿は・・・▼ そうか、ゼメンとゼウェアクが 融合してるんですね・・・ まるで途中で終わったみたいですが。▼ さて、○○さん、 これが最後の戦いになるのでしょう。 死なないで下さいね・・・▼ では・・・参りましょうか。▼ "Bealphareth" Mission complete ・BACK ・CONTINUE |
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